HELL FREEZES OVER / EAGLES (ヘル・フリーゼーズ・オーバー/イーグルス)

2020年12月17日

 

HELL FREEZES OVER /EAGLES

1. Hotel California

2. Tequila Sunrise

3. Help Me Through The Night

4. The Heart Of The Matter

5. Love Will Keep Us Alive

6. Learn To Be Still

7. Pretty Maids All In A Row

8 . The Girl From Yesterday

9. Wasted Time

10. I Can’t Tell You Why

11. New York Minute

12. The Last Resort

13. Take It Easy

14. Life In The Fast Lane

15. In The City

16. Get Over It

17. Desperado

18. Seven Bridges Road
(DTS Audio Only Track)

※曲目はオリジナルの曲目を紹介しております。

※発売時期や国によって多少ジャケットが異なりますので、ご了承ください。

 このライブは音のみと動画も入ったものの2種類がありますが、動画付きのものが曲数も多く、臨場感もありますので、動画のほうをご紹介致します。曲順も両者は違います(しかも動画のほうはライブ録音ですが、CDのほうは新曲はスタジオ録音です)のでご了承ください。

 アルバム・タイトルの「HELL FREEZES OVER(ヘル・フリーゼーズ・オーバー)」というのは(和訳すると“地獄が凍りつく”の意味)ドン・ヘンリーが以前インタビューを受けた際、「EAGLESの再編成は地獄が凍り付かないかぎりあり得ない」と答えた言葉に相応するもの。人間は滅多なことを口にするものではないものですね。

 なお、動画はアメリカのMTVで放送されたものがオリジナルのようで、日本のWOWOWとかで放送もされたようで、その時は22曲も放送されたようです(エンディング・ロールの曲のクレジットには記載がそのままあります)。どうせなら、それと同じものを発売して欲しかったのですが、曲数が減っています。ご了承ください。

 さて1994年EAGLESが再結成されました。メンバーは1980年の解散時のメンバー、ドン・ヘンリー、グレン・フライ、ドン・フェルダー、ジョー・ウォルシュ、ティモシーB.シュミットの5人です。
 再結成は単なる同窓会みたいなレベル、つまり昔の曲だけを演奏するだけ、ニュー・ソングは作っても、付け足しレベル、本格的に結成してパーマネントなグループとして活動していくと両パターンがあると思いますが、EAGLESの場合は前者と言っていいでしょう。結果的に、ちょくちょく再結成されていますが、同窓会レベルの領域と言っていいでしょう。

 映像はメンバーたちが再結成のいきさつをしゃべるところから始まります(日本盤は日本語訳が入りますが、アメリカ盤は入りません)。そして、コーラスの練習風景もあります(コンサートの直前にEAGLESは毎回やってました)。企画はMTVということもあって、当時流行だったアンプラグドショーからライブは始まるのです。

 1曲目は“Hotel California”ですが、この曲もアンプラグドです。アンプラグドはそれはそれで味がありますが、多くの人はプラグド(つまりギターはエレクトリック・ギター)の演奏を見たかったはずです。それとこの曲のライブを聴くといつも思うのですが、スタジオ・テイクだとフェイドアウトするのがライブの場合、エンディングがダサい・・・。もう少し格好いい終わり方がないのだろうか?

 3曲目の“Help Me Through The Night“”はジョー・ウォルッシュのファースト・ソロ・アルバム「SO WHAT」(1974年の作品。まだEAGLESに加入前ですが、ゲスト・ミュージシャンとしてグレン・フライ、ドン・ヘンリー、ランディ・マイズナーが参加しています)に収録の曲。EAGLESのメンバーも参加していたということで選ばれた曲なのでしょう。

hell frezes over

 4曲目の“The Heart Of The Matter”はドン・ヘンリーのセカンド・ソロ・アルバム「THE END OF THE INNOCENCE」(1989年作)に収録されている曲です。ドン、J.D.サウザー、ギタリストのマイク・キャンベルの共作。ドンはこの曲を作るのに42年かかったと紹介しています。
 去っていた愛しい女性が結婚したしたことを風の便りに聞いて、やはりその女性を愛していたと悔やむ歌。EAGLESを解散してもやはりドン・ヘンリーは失った恋人の歌ばかり歌っていました。

 アルバムでは女性コーラスが入っていますが、EAGLESの美しいバックコーラスの足元にも及びませんね。

 5曲目の“Love Will Keep Us Alive”は新曲。ティモシーB.シュミットがリードボーカルの美しいバラード曲。いかにもティモシーっぽい曲ですが、ピート・ヴェイル、ジム・キャパルディ(TRAFFICのドラマー兼ボーカリスト。2008年胃ガンのため他界)、ポール・キャラックの作品。

 “こうして僕はキミを見つけた。もう虚しさを感じないでいいんだよ。そう ひもじい思いをしていても 愛があれば生きていける ”という前向きな歌。

 6曲目“Learn To Be Still”・・・ライブではドン・ヘンリーが「3番の歌詞を覚えてるか心配だ。明日になったら全部忘れているだろうな」などと冗句とも本気とも言えることを言って苦笑いしています。ドン・ヘンリーとスタン・リンチ(元TOM PETTY & HEARTBREAKERS)の共作。ドンのリード・ボーカル。

 “俺たちは羊飼いのいない羊のようなもの。一人じゃ生きていけないのさ。だからこの砂漠をさまよい歩き、結局違う神のあとについて行ってしまう。しかし、群れは他の群れを求めあの鐘に応え続ける。そしてもう一人のキラキラ輝く瞳の救世主は壮絶な別れに出会うことになるのさ。落ち着くことを学べ。じっとしていることを学べ。”

 ドンらしい相変わらずペシミスティックな詩ですね。

 8曲目“The Girl From Yesterday”・・・新曲。グレン・フライと旧友ジャック・テンプチンの共作。コンサートではグレンが旧友のJ.D.サウザーに捧げると言って歌い始めています。牧歌調のスローな曲で、ドン・フェルダーがペダル・スティール・ギターを弾いています。バックにはストリングスがかぶります。

 11曲目“New York Minute”・・・「なぜ再び集まったか・・・僕にも分からない。しかし、こうしていられるのは僕らが生き残れたからだ。友情に感謝だ」そんな風にドン・ヘンリーは語っています。これもドン・ヘンリーのソロ・アルバム「THE END OF THE INNOCENCE」に収録された曲。ドンとダニー・コーチマン、ジェイ・ウィンディングの共作。ストリングスをバックに歌うドンの渋いリード・ボーカルと他のメンバーの美しいハーモニーにはほれぼれします。

 12曲目“Last Resort”・・・ドン・ヘンリーは 始めに「アメリカは勝ったが、多くのものを失った」と語っています。これはイラク戦争でのアメリカのことを言っているかのようでもありますが、ライブは1994年のものですから、まだイラク戦争前です。「歴史は繰り返す」ということなんでしょう。最後の楽園は実は楽園でも何でもなかったという皮肉を込た歌を切々と歌っています。いい曲なのに、ドンの歌詞は皮肉たっぷりですよね。

 16曲目“Get Over It”・・・ドン・ヘンリーとグレン・フライの共作による新曲。

 “テレビをつけて、そこに見たものは大勢の人間が『私を非難するな』と叫んでいる姿。彼らは曲がった指でお互いを指さしながらいつまでも自分の人生を嘆いている。・・・”
 当時の政治に向けた辛辣な批判。相変わらず皮肉に満ちた歌詞です。リード・ギターはグレン。スライド・ギターはジョー、そして最後のリード・ギターはドン・フェルダー。

 このコンサートはアコースティック・パート、ストリングスとの共演パート、そしてエレクトリック・パートの3つに分かれています。ワールドツアーはエレクトリック・パートがメインだったので、その意味では特別のコンサートだったのでしょう。

 EAGLESのコンサートではストリングスや特別のコンサート以外ではバックミュージシャンはいなかったのに、再結成後はパーカッションやバック・キーボード、セカンド・ドラマーなどを使っています。音に厚みを出す意味もあるでしょうが、セカンド・ドラマーなどはドン・ヘンリーの負担を減らす意味合いが大きいでしょう。

 全体を通してみると悪い作品ではないと思いますが、やはり、良くも悪くもこの時の再結成は同窓会の領域内のものと言えるでしょう。。

ちなみにこの時の日本ツアーは翌1995年でした。

1995年来日公演 日程

11月 9日(木) 阪神甲子園球場
11月11日(土) 横浜アリーナ
11月12日(日) 東京ドーム
11月14日(火) 東京ドーム
11月15日(水) 東京ドーム
11月18日(土) 福岡ドーム
11月20日(月) 横浜アリーナ
11月21日(火) 横浜アリーナ<追加公演>

セットリスト

1. Hotel California
2. Victim Of Love
3. New Kid In Town
4. Wasted Time
5. Pretty Maids All In A Row
6. The Girl From Yesterday
7. I Can’t Tell You Why
8. Ordinary Average Guy (Joe Walsh Solo)
9. Lyin’ Eyes
10. One Of These Nights

(Intermission)

11. Tequila Sunrise
12. Love Will Keep Us Alive
13. Help Me Through The Night (from Joe Walsh Solo)
14. The Heart Of The Matter (from Don Henley Solo)
15. You Belong To The City (from Glenn Frey solo)
16. The Boys Of Summer (from Don Henley Solo)
17. Funk #49 (from Joe Walsh Solo)
18. Dirty Laundry (from Don Henley Solo)
19. Smugglers Blues (from Glenn Frey Solo)
20. Funk #49 (from JAMES GANG album)
21. Life’s Been Good (from Joe Walsh Solo)
22. All She Wants To Do Is Dance (from Don Henley Solo)
23. Heartache Tonight
24. Life In The Fast Lane

Encore:
   Get Over It
   Rocky Mountain Way (from Joe Walsh Solo)
   ——-
   Already Gone
   Desperado
   Take It Easy

 ソロアルバムからの曲がすごく多いですね。

 その後、イーグルスは2007年に新録音ばかりのニュー・アルバム「LONG ROAD OUT OF EDEN(ロング・ロード・アウト・オブ・エデン)」を発表します。これは2枚組のボリュームは立派なアルバムで楽曲個々は悪くないと思いますが、2枚組全20曲は多すぎる・・・。しかも、契約の関係とかでドン・フェルダーが参加してないEAGLESなんて、って感じです。(ドン・フェルダーとの関係がこじれたことに関してはこのページが詳しいです⇒ここ)

 このアルバムに関しても、機会があれば、レビューをしてみたいですが・・・。

 

末筆ながら、以前、自分で作っていたHPでHELL FREEZES OVERのDVDのレビューを書いていたのを再度紹介させていただきます。2000年前後はまだブログとかが盛んでなく、多くのプロバーダーが自身のサーバーの一部に無償でHPを作るサービスというのをやっていました。SNSが盛んになって、簡単にブログ等も作れるようになってからはこのサービスは閉鎖になり、以降、私のレビューも日の目を見る機会がなくなっていました。よろしれければ読んでいただければ幸いです⇒こちら