HIGHWAY/FREE(ハイウェイ/フリー)

2020年5月7日

 

HIGHWAY/FREE

 

 

 

1.The Highway Song

2. The Stealer

3. On My Way

4. Be My Friend

5. Sunny Day

6. Ride On A Pony

7. Love You So

8. Bodie

9. Soon I Will Be Gone

 ※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

 代表作と言われた「FIRE & WATER」につづくFREE4枚目のアルバム(1970年制作)。

 CDだとよーく見ないと分かりづらいのですが、ジャケットはメンバーの顔がそれぞれ、向かって左から「F」「R」「E」「E」の細かい文字ばかり使って形成されています。FREE Photo4-1

 1曲目の“The Highway Song”はFREEには珍しいカントリーっぽい感じの曲。アンディ・フレーザーが弾いていると思われるピアノのサウンドが心地よいです。2曲目の“The Stealer”はグルーブの効いたベースライン、それに対照的にからむメロディアスなギターが素敵に絡んでいます(英米ともに大ヒットした“All Right Now”につづいてシングル・カットされた曲ですが、なぜか泣かず飛ばずの売れ行きだったようです)。

 ポール・ロジャースのシャウトがますます円熟味を増し、とんだ恋泥棒に歌を華麗に歌っております。私が女だったら、「どうぞどうぞ、ご勝手に私の愛を盗んで行ってください」と言いたくなるくらいクールな曲です。

 3曲目の“One My Way”もイギリスの片田舎のポカポカ陽気の昼下がりを思わせるような心地よいの曲。

 4曲目の“Be My Friend”はFREEの曲で屈指といっていいくらいのバラード・ソング。この曲もピアノの音が凄く心地いい(のですが、ライブだとピアノが入らないのが残念)。
 ここぞとばかりのポール・コソフの泣きのギターも堪能できます。

 5曲目“Sunny Day”温かい太陽の光がやさしく包んでくれるような曲。楽しかったあの日を懐かしんでいるようなちょっとうら悲しい失恋ソングではありますが・・・。

 6曲目“Ride On Pony”もFREEの代表曲としてよくライブでプレイされていたよう。このアルバムの中ではストレートでいつもの男らしいFREEを代表するような曲。ブルースというよりR&Bっぽい感じの曲。僕は街から100マイルも離れた山奥に住んでいるけど、キミに逢いたいから仔馬(ポニー)に乗って逢いに行くよ、と歌う純粋な愛の歌。

 次の7曲目以降は凄く落ち込んだ時に独りでしみじみと聴くとこころが和みます。その7曲目“Love You So”はAnd by the way bofore you go, I’d like to say I love you so…で始まるすごく意味深な別れの歌。とことん強がりを言っているけど、結局は別れた女を忘れられない男の女々しい歌。女より男のほうがずっと純粋で傷つきやすいんだというようなことを思わせてくれる曲。
珍しくポール・ロジャース/サイモン・カークコンビによるコンポーズとなっています。FREE-PHOTO-4-2

 8曲目“Bodie”はアコースティックギターの澄んだ音が気持ちいい曲。この曲はハッピーエンドで楽しい曲です。

 そしてエンディングを飾る重厚な曲“Soon I will Be Gone”は当時すごく流行っていたメロトロンという楽器を使って、ストリングス効果を出しているのが時代を感じます。

 Watch my hand , writing this last letter
 Watch my hand , knowing I won’t forget her

 としっかりと韻を踏んだ詩になっています。

 さびの

 Now lighting a cigarette and knowing I will regret
 The way I love had to end

(今こうしてタバコに火をつけて後悔を感じた時、俺の愛は終わりにせざるを得なかったのだろう)

 というフレーズがこころにしみます。

 自分に対して“Soon I will be gone”と最後にいうのはかなり女性が去って深く傷ついているのが分かります。この歌の主人公は自殺しなければいいんだけど、とまで気遣ってしまう、重い曲と詩・・・。どうしてここまで深い失恋ソングを20歳そこそこの男たちが作れたのかと不思議に思います。

 オリジナルアルバムは三十数分の短いアルバムですが、その作品的価値からいうとやはり歴史に残る名作の1枚と言っていいだろうと私は思います。

 残念なことにポール・ロジャーズとアンディ・フレイザーのソング・ライティング・コンビの確執が決定的となり、グループは分裂して行くのです。ここまで凄い作品を作り上げたことの代償はあまりに大きなものとなりました。