DOWN ON THE FARM / LITTLE FEAT

1. Down On The Farm

2. Six Feet Of Snow

3. Perfect Imperfection

4. Kokomo

5. Be One Now

6. Straight From The Heart

7. Front Page News

8. Wake Up Dreaming

9. Feel The Groove

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

※発売時期や国によって多少ジャケットが異なりますので、ご了承ください。ジャケット・デザインはネオン・パーク。アヒル顔の女性がプールサイドのチェアに座っている面白いもの。

 前作「TIME LOVES A HERO(タイム・ラブズ・ア・ヒーロー)」で自分と他のメンバーの音楽性のギャップを感じていたローウェル・ジョージはソロ・アルバム「THANKS I’LL EAT IT HERE(イート・イット・ヒア)」を録音。その後、この「DOWN ON THE FARM(ダウン・オン・ザ・ファーム)」のレコーディングを開始します(ソロ・アルバムのレコーディングの頃にはすでにローウェルはLITTLE FEATの解散を決めていたとの話もあるので、レーコーディング時期は確実性を欠きます)。ところが、ローウェル・ジョージとビル・ペインが音楽性の違いで対立し、レコーディングが中断してしまいます。もはやこれまでと思ったローウェルはバンドの解散を1979年5月に正式に発表し、みずからのソロ・ツアーに出るのです。そしてツアー中の6月15日、ローウェルは滞在中のホテルで夜中に異常を妻に訴え緊急入院するも、治療の甲斐もなく6月29日に帰らぬ人となったのでした。

 残ったLITTLE FEATのメンバーはケンカ別れのようになったローウェルとの関係を悔やみ、ローウェル追悼の意味を込めて、録音途中だったテープに重ねる形で録音したり、新たにレコーディングした曲を加えたりして、「DOWN ON THE FARM(ダウン・オン・ザ・ファーム)」を完成させます。そしてローウェルに敬意を表して、プロデュースのクレジットはLowell George…with a little help from his friendsと表記してあるのです。

 発売は1979年10月。

 1曲目“Down On The Farm”・・・ポール・バレルとガブリエル・バレルの共作。最初にカエルの鳴き声が入り、“Shut up(黙れ)”というローウェルらしい声が何度も入っているのが笑えます。ローウェルの作品ではないのに、農場へ帰ろうよ、というタイトルは、ローウェルがやっていた泥臭いサウンドへ敬意を表してのことでしょうか?スライド・ギターもポールの演奏だと思いますが、ローウェルっぽい音になっています。

 2曲目“Six Feet Of Snow”・・・ローウェルとGRATEFUL DEADのキース・ゴドショーの共作。ボーカルはローウェル。C&Wっぽいサウンドで、ALLMAN BROTHERSのディッキー・ベッツが歌ってもおかしくないような音。

 3曲目“Perfect Imperfection”・・・ポール・バレルとトム・ショーの共作。リード・ボーカルはローウェル。スロー・ブルースっぽいこの歌はボーカリストとしての、ローウェルの才能と魅力に感動する曲。この曲と次の“Kokomo”が日の目をみてよかったとつくづく思います。ポール・バレルがこの歌を歌ったらこんなにいい曲にはならなかったと思います。よくぞローウェルに歌わせてくれました。

 “Love is a perfect imperfectin . Sometimes happy , sometimes sad.”ローウェルが作ったと言われても納得するタイプの曲です。「愛は完全に不完全」とパラドックスな言葉を使っているのが面白く、大好きな曲です。

 4曲目“Kokomo”・・・ローウェル作。これぞローウェルの真骨頂というできの曲。ボーカルもローウェル。“Kokomo”とはリゾート地の名前です。ローウェルの親しかったBEACH BOYSも同名異曲の歌を歌っていたので、作るつもりになったのではないでしょうか?

 5曲目“Be One Now”・・・ローウェルトその盟友ビーワン・タケットの共作。リード・ボーカルはローウェル。すっとりとしたブルージーなラブ・ソング。

 6曲目“Straight From The Heart”・・・ローウェル・ジョージとビル・ペインの共作。ローウェルのリード・ボーカル。スライド・ギターもローウェル。ローウェルも死期を悟って、落ち着いた気持ちなのか?ストレートな詩が多いですね。

 7曲目“Front Page News”・・・これもローウェルとビルの共作。リード・ボーカルはローウェル。曲調としてはSTEELY DANっぽいフュージョン路線。6分近い曲。

 8曲目“Wake Up Dreaming”・・・ビル・ペインとフラン・ペインの共作。リード・ボーカルはビル。どうしてもビルのボーカルは弱いです。曲調はマイケル・マクドナルド加入後のDOOBIEっぽいです。ギターはポールのリードらしく、これもかなりフュージョンっぽいです。

 9曲目“Feel The Groove”・・・サム・クレイトンの作。グルーブの聴いたファンキーソウル。かなり陽気な曲で、ローウェルの追悼とは言え、暗くならずに送ってあげようっていう配慮でしょうか?わざと不協和音っぽいシンセサイザー音などを入れて遊んでいます。

 結局、このアルバムはローウェル・ジョージが参加したLITTLE FEATのアルバムでは一番売れたアルバムになったようです。ローウェルの色と他のメンバーの色がうまく融合したからでしょう。楽曲的にもすぐれたものが多いと思います。個人的にもよく聴く部類のアルバムです。

 もっとも、他のメンバーはこのアルバムに飽き足らずに正式な2枚組の追悼盤「Hoy-Hoy ! 」を出しますが、このアルバムは寄せ集めのごった煮的なものになっていて私はあまり好きではありません(主な未発表ライブも今では「WAITING FOR COLUMBUS」に追加されていますし)。

 メンバーは「DOWN ON THE FARM(ダウン・オン・ザ・ファーム)」の発表後ひとまず解散し、1988年に再結成しますが、私にとってはローウェルのいないLITTLE FEATは同名異バンドと言ってよいくらい興味がないバンドなので、これをもってLITTLE FEATのアルバム・レビューはおしまいにします。とは言え、ローウェル・ジョージの遺作といいますか、最初で最後のソロ・アルバムもレビューしておきたいと思います。

 2010年オリジナル・メンバーでずっとLITTLE FEATのドラムスを担当していたリッチー・ヘイワード氏が肝臓癌で他界されました(享年64歳)。今頃は天国でローウェル・ジョージと楽しくセッションしているかも知れませんね。