LED ZEPPELIN II / LED ZEPPELIN

1. Whole Lotta Love

2. What Is And What Should Never Be

3. The Lemon Song

4. Thank You

5. Heartbreaker

6. Livin’ Lovin’ Maid (She’s Just A Woman)

7. Ramble On

8. Moby Dick

9. Bring It On Home

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

 デビュー・アルバムのアメリカでの売上げがすこぶるよく、早く2枚目を作って発表させてくれと、ツェッペリンはアトランティック・レコードから要請されます。そのため、このセカンド・アルバムはツアーの合間を縫ってホテルで作った曲を、イギリスやアメリカの各地のスタジオで録音するという離れ業で作られています。デビュー・アルバムがアメリカでは1969年1月に発売されたのに、このセカンド・アルバムは10月には発売されているのです(当時は1つのバンドが1年に2枚アルバムを発表することはそれほど珍しいことではありませんでしたが)。それにしては、よくまとまったアルバムだと思います。
 初期の名作として知られ、このアルバムをツェッペリンの最高傑作として上げる人も少なくないようです。

 契約関係で、著作者としてデビュー・アルバムでは名前をクレジットできなかったロバートもこのセカンド・アルバムからはクレジットされるようになりました。しかしながら、古いブルースのメロディや歌詞を使いながら、自分たちの作品として発表している無頓着さというか厚顔さはこのアルバムにも受け継がれており、その後、裁判沙汰になって曲があることはデビュー・アルバムと同じです(カバー曲をカバーとして発表してもアレンジが素晴らしければ決して恥じることではないと思います)。

 ジャケットはデビュー・アルバムがシングル・ジャケットでしたが、セカンド・アルバムからはWジャケットとなっています。表ジャケットはツェッペリン飛行船のシルエットが描かれ、その前に飛行船の乗員一団の色がセピア色になって配置され、その写真の中に同じような制服を来たツェッペリンのメンバー4人も加わって描かれているというもの。

 1曲目“Whole Lotta Love”・・・非常に有名な曲でツェッペリンを知っている人ならほとんどの人が聴いたことがある曲ですね。アメリカでは、シングル用に短く編集されて大ヒットしています。ギターのリフとベースラインで始まるあまりにも有名な曲ですが、ボーカルのあとにドラムが入ると急に重厚になり、これぞハード・ロックの代表曲と思われていますが。
 しかし、これもウィリー・ディクソンがマディー・ウォータースのために書き下ろしたブルースナンバー“You Need Love”のぱくりであることはあまりにも有名。発表当初はメンバー4人の作とクレジットされていましたが、その後ウィリー・ディクソンに訴えられ、ウィリーの名前を加えた5人の名前がクレジットされています。ほとんどコピーに近い感じですので、作者はウィリーだけに改めても良いのではと思うほどです。
 本当になぜここまでツェッペリンは著作権にいい加減なのか理解ができません。多くの人が知っている曲を平気で自分たちの曲と表記して知らん顔なのですから、信じられないです。むしろ、他人の曲は他人の曲としてカバーして、作者に敬意を表するというクラプトンやジェフ・ベックのような謙虚な気持ちがなぜ持てないのでしょうか?ジミー・ペイジが守銭奴と評されていたのはそのへんにあるのでしょうか?

 ツェッペリンのこの曲はかなり音が右へ左へと行き交うので、ステレオ感十分というべきなのか、オーバー・プロデュースというべきなのかは評価の分かれるところです。今、聴くとステレオがまだ珍しい時代を象徴しているとも言える曲とも言えるでしょう。
 この曲が流行って以来、ギター・キッズたちはディストーションをかけたパワー・コード(三度を抜いて一度と五度だけのコードにしたもの)のリフを練習しまくっていたというくらいこの曲のもつ影響力はロック少年にはインパクトが大きかったようです。

 2曲目“What Is And What Should Never Be”・・・プラント&ページ作。スローに始まって、ブレイクする曲調はインパクトがあります。ジミーのスライド・ギターもスペーシーで効果的です。ロバートのボーカルをここまで処理するのはいかがなものかとも思われますが、当時としてはこれが最先端のプロデュースだったということでしょうか。時代を感じさせる曲であります。

 3曲目“The Lemon Song”・・・ジョン・ポールのベース・ラインが素敵なブルース・ナンバーになっていると思いますが、メロディーはハウリング・ウルフの“Killing Floor”のぱくり、歌詞はロバート・ジョンソンの“Travelling Riverside Blues”のものを多用にも関わらず、4人のメンバーの作品として当初は発表されていました。いずれも有名な黒人ブルースマンということで、多くの人たちが知っている曲なのに、何とも残念な話です。
 ロバート・ジョンソンはすでに他界していましたが、ハウリング・ウルフはのちにツェッペリン側に抗議し、両者は和解、ハウリング・ウルフの名前もコンポーザーとして表記されるようになり、印税が受け取れるようになりました。

 4曲目“Thank You”・・・ジョン・ポールのハモンドオルガンがフューチャーされたスローテンポのナンバー。プラント&ペイジの作となっています。歌詞はロバートが書いているようで奥さんに捧げたものだとされています。「もし太陽が照らさなくなったとしても俺はおまえをずっと愛し続けるよ」という熱いラブソングです。この曲のようなジミーの弾くアコースティック・ギターやマンドリンは個人的に彼のエレキ・ギターより哀愁があって私は好きです。

 5曲目“Heartbreaker”・・・レコードだとここからB面になります。ハード・ロックといいつつもそれほどテンポも速くない曲調ですが、ジミーの弾くフレーズが非常に覚えやすく、ギターもコピーしやすいので、アマチュア・バンドのギタリストもよくコピーした曲(DEEP PURPLEの“Smoke On The Water”とともに)の1つと言えるでしょう。しかし、簡単そうにみえて、素人には慣れるまで大変な曲ですが、ギターソロにしたって、弾く側の立場からすればクラプトンのそれよりはずっと取っつきやすいのは確かでしょう。
 “Heartbreaker”といえば、1969~1970年代にロックの大作としてツェッペリン以外にもGRAND FUNK RAILROADやFREEも素晴らしい曲を作っています。失恋ソングとして作りやすいタイトルなのでしょうね(1979年に女性ロック・シンガーのパット・ベネターも同名異曲を出していますが、これもなかなかよくできたハード・ロックです)。

 6曲目“Livin’ Lovin’ Maid (She’s Just A Woman)”・・・5曲目の“Heartbreaker”とのメドレー形式で収録されているのがこの曲ですが、この曲のフレーズはとってもキャッチーでテンポもいいので、好きな人は多いのではないでしょうか?ファンならば、ライブでも“Heartbreaker”とのメドレーで聴きたいと思った人は多いと思いますが、残念ながらツェッペリンがステージで演奏したことはなかったようです(蛇足ですがGREAT WHITEというアメリカのバンドがツェッペリンのカバー曲ばかりを演奏したライブ・アルバム「Great Zeppelin: Tribute to Led Zeppelin 」中で、“Heartbreaker”とのメロディー形式はないもののプレイしていますが、往年のツェッペリンを彷彿させてくれているのでお勧めです。特にロバートが高音が出なくなった今、あの高音をフェイクなしで美しく歌っているジャック・ラッセルの歌は一聴に値します)。
 弦をピックでスライドさせてこするようなところはライブでも見映えして、ギタリストとしてもカッコつけやすいと思うのですが(笑)、どうもジミー・ペイジの考え方は独特のようです。ちなみに、黒人ブルースマンの多くはギターを独学で習得するので、動かしにくい左の小指はフレットを押さえるのに使わない(コードを押さえる時は使っている人もいます)人が多いのですが、ジミーもコードを押さえる時には小指は使っているようですが、単音を出すソロとかでは小指は使ってないようです。このあたりもクラプトンやジェフ・ベックとの違いがありますね。
 クラプトンやベックはあくまでギターのサウンドで勝負(ベックの場合は、特にギターが趣味みたいなところもあって、1973年の初来日の時など、食事に行く時ですら、ギター持参で、ギターを手放すのは食事の最中だけというようなギター・フリークです)ですが、ジミー・ペイジは視覚的な要素で演出するのはライブの大きな要素だったようです。
 蛇足ですが、ジミー・ペイジってライブでは厚着のことが多く、時にはオーバー着てプレイをしていることもあったりするのですが、細いからかなり寒がりなんでしょうかね?ジェフ・ベックのようにTシャツ1枚ということがないというのはオシャレだからなのかな?

 7曲目“Ramble On”・・・アコースティックで静かな曲調で始まり、サビはハードになるというメリハリの効いた曲ですが、途中で入るなんか場違いで美しいメロディはMETALLICAなどに通じる曲作りなのかも知れません。ライブでもよく演奏されていますね。プラント&ペイジの作となっています。

 8曲目“Moby Dick”・・・モビー・ディックとはアメリカの小説家ハーマン・メルヴィルの同名タイトルの小説に出て来る鯨の名前です(マンガ「ワンピースに出て来る船の名前もこれが由来のようです)。スタジオアルバムでもジョン・ボーナムのドラムソロをフィーチャーしたインストナンバーですが、コンサートだとこの曲に導かれて、ボンゾー(ジョン・ボーナムの愛称)のドラムが20分くらい延々と続きます。
 体調によって、リズムキープがすごく正確な時と乱れる時がある人でそれが人間的とも言えるのでしょうが、ボンゾーのドラミングはただパワフルだけで終わらず、繊細さも兼ね備えていて、ハード・ロックのドラマーと言えば、筆頭に彼の名前が挙がって来るくらい、超々すごい迫力のドラマーであった(多くのドラマーが憧れた人)ことは間違いないでしょう。ツェッペリンが解散したのも、彼が亡くなって後任のドラマーとしてふさわしい人がいないというのが理由だったのですから。もっともツェッペリンの場合はメンバーの誰が欠けても継続は難しかったでしょうが。

  なお、この曲もボビー・パーカーという人の“Watch Your Step”という曲にギターのフレーズがそっくりです。しかし、作曲はロバートを除く3人のクレジットがあるだけです。

 9曲目“Bring It on Home”・・・オープニングとエンディングのアコースティック・パート(ご丁寧にマウス・ハープまでロバートが吹いています)に出て来るのはどう聴いても、黒人ハープ奏者として知られていたサニー・ボーイ・ウィリアムソンII(“II”=2世とありますが、元のサニー・ボーイ・ウィリアムソンの人気にあやかりたいと、この人が勝手にサニー・ボーイ・ウィリアムソンと名乗ったため、両者を便宜上区別するために、“I”“II”と付けて呼ばれるようになったものです。昔に遡るほど権利関係がいい加減だったので、このようなアコギなことも許されていたのでしょう。もっとも一世より二世のほうが後には有名になってのですから、皮肉なお話ですね)の同名曲の引用だが、アルバムのクレジットにはこの曲の作曲者のウィリー・ディクソンのクレジットはありませんでした。
 ツェッペリンのアレンジも見事なのですから、初めからカバーとしてクレジットしておくべきだったと思います。

  

特報!
 このたび、ジミー・ページ、プロデュースによるリマスター盤の発売が1枚目から3枚目(I-III)までされることになりました。
 完全未発表の超貴重な音源を初めて追加収録。ブックレット、DLカードなど特典満載の超豪華限定BOXも含め、 初期アルバム3作、各3パッケージという豪華な代物。

 マニアなら是非コレクションに加えたいシリーズですね。

 レッド・ツェッペリンII