RED / KING CRIMSON

1. Red

2. Fallen Angel

3. One More Red Nightmare

4. Providence

5. Starless

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

 1974年11月発表の発表順では8枚目「RED」。KING CRIMSONのオフィシャル・アルバムでは唯一メンバーの顔写真が表ジャケットに使われているという珍しいアルバムです。

 正式メンバーは、ついに3人となり

ロバート・フリップ - ギター, メロトロン, エレクトリック・ピアノ
ジョン・ウェットン - ボーカル, ベースKING CRIMSON/RED
ビル・ブラッフォード - ドラムス,パーカッション

ゲスト参加

デヴィッド・クロス - バイオリン(4)
メル・コリンズ - ソプラノ・サックス(5)
イアン・マクドナルド - アルト・サックス(3,5)
ロビン・ミラー - オーボエ(2)
マーク・チャリグ - コルネット(2)
クレジットなし - チェロ(1,2,5)

 となっています。

 デヴィッド・クロスはだんだんハードなサウンドになっていくグループの音に耐えきれず、このアルバムが発売される前にグループから離脱してしまいました。もっとも4曲目の“Providence”は、1974年6月30日のライブ録音のため、その当時はまだ、グループに在籍していたものと思われます。その後、脱退したため、アルバム発表時には脱退していたためクレジットではゲスト扱いとされています。

 さて、CRIMSON(深紅)がRED(赤)を出したという訳ですが、レコーディングは1974年6月~7月にかけて行われたと言います。最後に収録されれいる“Starless”などはデヴィッド・クロス在籍時にもすでにライブでよく演奏されていた曲であり、前々作「LARKS’ TONGUES IN ASPIC」、前作「STARLESS & BIBLE BLACK」そして本作「RED」は発表時期は違っていても、収録されていた曲の多くはその当時、ライブでずっと演奏されていた曲であるものが多かったようです。

 redというタイトルになったのは、バンドがタコメーターのレッドライン(限界状態・危険ゾーン)redになってしまったということを示していることを意味するようです(裏ジャケットはそのレッドゾーンになったタコメーターの写真が載っています。

 1曲目“Red”・・・いきなりタイトル曲が入っています。とても有名な曲なので、いまさら紹介するまでもないかも知れませんが、ディストーションの効いたロバート・フリップのギターの輝きが半端でなく、アンサンブルを大切にするために結構バックに回ることが多いロバートのギターが3人編成で前面に出て存在感を出している珍しい曲といえるのではないでしょうか。

 2曲目“Fallen Angel”・・・この曲はジョン・ウェットンの美しいボーカルに被るように、やはりロバート・フリップのディストーションの効いたギターが被さるのですが、途中ではなかなか美しいギターのフレーズも聴けて、すごく盛り上がる構成になっています。

 3曲目“One More Red Nightmare”・・・この曲はなんと言ってもビル・ブラッフォードのドラムスがフィーチャーされているのが特徴でしょう。テンポとリズムがどんどん変わって行くCRIMSONらしい曲でもあり、ゲストとして参加しているイアン・マクドナルドのアルト・サックスも効果的に入ります。
 タイトルからも推察できるように“Red”っぽいフレーズも出て来ます。
 かなりハードな曲であり、デヴィッド・クロスがこういう曲について行けなくなったのでしょう。

 4曲目“Providence”・・・上に書いたようにデヴィッド・クロス在籍時のライブ。インプロビゼーションなので、難解ですが、当時のCRIMSONはこういう演奏が延々と続くというパターンが多かったのが、後々に発表されるライブ・アルバムで分かるようになって来ます(前作もそんなライブが多かったですが)。
 もっとも、この曲はロバート・フリップのギターもナーバスと言えるくらい弾きまくっているので飽きませんけどね。

 5曲目“Starless”・・・冒頭からメロトロンの音が優しく響き、哀愁を帯びたギターが続きます。ジョン・ウェットンの話によるとこの曲、実は“Starless and Bible Black”というタイトルで前作「STARLESS & BIBLE BLACK(暗黒の世界)」に収録される予定だったと言います。それがロバート・フリップの勝手な判断で収録されず、またなぜか分からず、このアルバムで急に収録されることに決まったと言います(それで納得しました。なぜ“Starless・・・”というタイトルの曲が2曲もあるのか、そして、この曲の歌詞にも“STARLESS & BIBLE BLACK”と出て来るのに、なぜこの曲が“STARLESS & BIBLE BLACK”というタイトルでないのか、かなり疑問に思っていたので)。
 私の勝手な推測ですが、ロバート自身この曲を3部作の最後の最後に持ってくることで、これで終わりだとバンドの解散をよりクローズアップする演出だったのではないかと思います。
 その後、CRIMSONの元メンバーのインタビューを読んでみてもロバート・フリップはかなりの変人で、完璧主義者のようですね。容貌を見ても哲学者のようですものね。ビル・ブラッフードは1981年に結成する際もロバートと組むことになるのですが、その後、フリップとは二度と一緒にやりたくないと怒っていた時期もあったようです。
 しかし、ロバートのこだわりが、ROXY MUSICというバンドを産むことになるのですから(CRIMSONのオーディションを受けに来たブライアン・フェリーは、ロバート・フリップに「キミのスタイルはCRIMSONのスタイルには不向きだが、バンドを別に作ってプレイすればきっと成功するよ」といい、自分が所属していた事務所EGに所属させて、ROXY MUSICを結成することになるのです)先見の明があると言えます(ちなみにこの時、オーディションにはソロ・デビュー前のエルトン・ジョンやボズ・バレルも来ていて結局ボズが選ばれることになるのです)。

 このアルバムの中では“Red”と並んで傑作とされている曲で、単調なメロディーを繰り返し、だんだん音を高くしていき、徐々に曲を盛り上げていくという手法はロバート・フリップの十八番でもありますね。後半はメル・コリンズやイアン・マクドナルドのサックスが効果的に入り、星のない混沌とした世界が訪れる様子をアグレッシブに表現していると思います。

 実は、このアルバムにゲストとして参加した、CRIMSONのオリジナル・メンバーであるイアン・マクドナルドを再び正式メンバーに加えてバンドを継続して行こうという話にグループ内でなったという話ですが、ロバート自身にはそんなつもりもなく、結局ジャケットのタコメーターが示すようにバンドはレッドゾーンを迎え、1981年まで解散となるのです。

 良くも悪くも2枚目の「IN THE WAKE OF~(ポセイドンのめざめ)」のアルバム以降はロバート・フリップのワンマン・バンドってことなのでしょう。

 しかしこのアルバムはかなり評価が高く、ファンの中には最高傑作だという人も少なからずいるようです。たしかにCRIMSONっぽい音かも知れませんが、KING CRIMSONの場合はどの音を指してCRIMSONっぽいというのかがそもそも議論があるところですから、難しいところではあります。私も大好きなアルバムの1枚であることは間違いありません。