LARKS’ TONGUES IN ASPIC / KING CRIMSON

1. Larks’ Tongues In Aspic, Part One

2. Book Of Saturday

3. Exiles

4. Easy Money

5. The Talking Drum

6. Larks’ Tongues In Aspic, Part Two

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

 1973年5月発表の6枚目「LARKS’ TONGUES IN ASPIC(太陽と戦慄)」。原題を直訳すると「アスピックの中にある雲雀の舌」。“ASPIC”とはフランス料理の一種で、肉や魚を煮たブイヨンをゼリーにしたもの、日本で言う“煮こごり”のようです。
 「太陽と戦慄」というタイトルは、発売当時の日本の担当ディレクターがジャケットのイメージから勝手に付けたようです。あとでそのことを知ったロバートは怪訝な顔をしたそうですが、私は、まーいいかな、って思います。原題をそのまま訳されても意味分からないですからねー。

 メンバーは

ロバート・フリップ - ギター, メロトロン, エレクトリック・ピアノ
ジョン・ウェットン - ボーカル, ベース,ピアノ(3)
ビル・ブラッフォード - ドラムス
デヴィッド・クロス - バイオリン, ビオラ, フルート(3)
ジェイミー・ミューア - パーカッション, ドラムス(1,6)

 ロバート・フリップは「ISLANS(アイランズ)」のツアー後、改めてバンドの解散を宣言したのです。しかし、彼は当時YESのドラマーをしていたビル・ブラフォードのドラミングを観て、大感動し、「私が一緒にやるのは彼しかいない」と決心し、ビルに一緒にやらないかと声をかけていたのです。当時「CLOSE TO THE EDGE(危機)」を発売し、行き詰まっていたYESをビルは潔く辞めてロバートと組むことに決めたのです。

 ロバートはFAMILYでベースとボーカルをしていたジョン・ウェットンなどにも声をかけ新生KING CRIMSONが誕生したのです。作詞は、ジョン・ウェットンの友人リチャード・パーマー=ジェイムズが担当しています。

 1曲目Larks’ Tongues In Aspic, Part One・・・この曲は2部構成になっています(その後、part.4jくらいまで出て来てますが)。コンセプトはジェイミー・ミューアだそうです。2人もパーカッショニストがいるのでリズムがすごくよく刻まれていていいですね。特にジェイミーという人はインプロビゼーションで太鼓を叩いていた人らしく、即興的で熱いリズム感があってよいですね。

 最初は東洋を思わせる鉄琴のような音で始まり、いきなりバイオリンが響き、ロバートのディストーションの効いたギターが奏でられ、ん?「21世紀の・・・・」再びみたいなスリリングなサウンド(ただし曲は歌がない)。リズムが変拍子なのはかつてのCRIMONと同様ですが、新パーカッションは今までのような小刻みにトトトトトと同じテンポのリズムを刻むというより、あくまで変化しているリズムで躍動感があります。

 この曲をスタジオライブの模様(ビート・クラブのライブ)の映像をみると、ジェイミー・ミューアの出で立ちが木こりか修行僧のように見えたのですが、ジェイミーは結局このアルバムだけで脱退し、本当に仏教修行のために、アルバム発売前に脱退したそうです。ユニークなパーカッションをプレイするだけに惜しまれます。

 2曲目“Book Of Saturday”・・・2曲目は1曲目とうって代わり、穏やかでバイオリンの音が終始なごませる展開の曲。ジョン・ウェットンのボーカルはデビュー・アルバム、2枚目のグレッグ・レイクより少し甘めの声ですが、その分、哀愁を帯びており、この曲を歌うのにはぴったりの人選に思われます。

 “もし私があなたを欺けるのなら ゲームのことも忘れられるだろうに。私はいつもあなたから離れようとするけれど あなたはいつも同じように笑っているだけなの” 意味がよく分からないですが、ここでいうゲームというのは恋愛のようです。

 元の詩を読んでいただけるとわかるのですが(日本盤でも、レコードではレコードを入れる袋に歌詩が印刷されていました)

 If I only could deceive you
 Forgetting the game
 Every time I try to leave you
 You laugh just the same

 と、この詩は脚韻を踏んでいます。1行目の“you”と3行目の“you”、2行目の“game”と“same”という具合。イギリス人の書く詩にはこういう韻を踏んでいるしゃれた詩が結構あるのですが(バンドのFREEも結構そういう詩が多かったです)、この詩もここちいいです。

 この曲はジョン・ウェットンの声によく似合っているせいか、彼がソロになっても(自分自身のギターの弾き語りで)ライブでよく歌われていた曲です。アルバムでは3分足らずと短いのが残念ですね。

 3曲目“Exiles”・・・この曲はドラムのリズムにしても曲調にしても、かなりデビュー・アルバムっぽい作りになっている気がします。ただ、本当のバイオリンが入っている分、この曲のほうが自然で、ここちいいです。

 タイトルを訳すと“放浪者(複数形)”。放浪という意味のもつある意味の孤独感(望郷の念)と気ままな自由奔放な開放感という特質に似つかわしい曲のように思えます。バイオリンを弾いているデヴィッド・クロスの大のお気に入りの曲のようで、ソロになっても演奏し、「EXILE」というタイトルのアルバムまで出しています。

 4曲目“Easy Money”・・・かなり盛り上がる佳作だと思います。淡々としていながらもアクセントを局所で感じるのはジェイミー・ミューアのユニークなパーカッションのお陰だと思います。ジェイミーがグループにずっといてくれればバンドはもっともっと発展したんじゃないかと私は思います。

 さて、タイトルは訳すと“あぶく銭”。最後に笑い声が入るのは、「悪銭身につかず」ということなのでしょうか?デビュー・アルバム当時のテクニシャン同士のバトルというイメージのアルバムになっているだけに、メンバー同士がいい意味で切磋琢磨していて適度の緊張感がある、いい曲に仕上がっています。

 5曲目“The Talking Drum”・・・ジェイミー・ミューアのパーカッションとデヴィッド・クロスのバイオリンをフューチャーした曲。この曲でもジェイミーのインプロビゼーションが光ります。

 6曲目“Larks’ Tongues In Aspic, Part Two”・・・かなりヘビーな曲。この曲はこの時期を代表するKING CRIMSONの曲と言われるくらい評価が高い曲です。インストナンバーですが、5人の卓越したプレイが絡み合って、熟練のサウンドをなっております。

 このアルバム以降のKING CRIMSONはグループ名こそ同じであるものの、それ以前のグループとは違うものと思っていたほうがいいように思います。一時期はライブで“21ST CENTURY SHIZOID MAN”をプレイすることすら拒否していたようです。

 ライブでは、その日によってアドリブの入る度合いも異なり、ロックというより、フリー・ジャズのようなコンサートだったと言います(その後、当時のライブがCDで何枚か発売されています)。初来日公演は1984年と言いますから、まだまだ先の話ですね。この時期のライブを実体験できなかった日本人はホント残念ですね。