ISLANDS / KING CRIMSON

1. Formentera Lady

2. Sailor’s Tale

3. The Letters

4. Ladies Of The Road

5. Prelude: Song Of The Gulls

6. Islands

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

 1971年発表の4枚目のアルバムが「ISLANDS(アイランズ)」。

 以前の邦題は“アイランド”と単数形だったですが、2006年より原題同様“アイランズ”と改められています。

 前作で、リード・ボーカルとベースを担当していたゴードン・ハスケルは首に。ドラムスのアンディ・マカロックも脱退。代わりにオーディションによって、ロード・ボーカルとベースのボズ・バレルとドラムスのイアン・ウォーレスが加入。また前作に引き続き、キース・ティペット・グループのメンバー等がゲスト参加しています。

 ボズはベースが弾けなかったそうですが、ロバート・フリップに特訓されてベースも弾くようになったようです。

 クレジットは

ロバート・フリップ – ギター、メロトロン、キーボードKIng Cromson 4th album
メル・コリンズ – サックス、フルート
ボズ・バレル – ボーカル、ベース
イアン・ウォーレス – ドラムス
ピート・シンフィールド – 作詞、映像

ゲスト・ミュージシャン

キース・ティペット – ピアノ
マーク・チャリグ – コルネット
ハリー・ミラー – コントラバス
ロビン・ミラー – オーボエ
ポーリナ・ルーカス – ボーカル

となっています。

 ボズはロジャー・ダルトリーだった以後のTHE WHOのボーカリストとして加入しそうになったが実現していません。1960年代後半に数枚のシングルをBOZ名義にて発表しています。

 クリムゾン脱退後はアレックシス・コーナーのバンドに加ります。その後、スタジオ・ミュージシャンとして活動し、BAD COMPANYのベーシストとして加入。何度かBAD COMPANYのベーシストとして活動後、表舞台から退きました。そして2006年9月21日、スペインの自宅にて心臓発作にて死去。享年60歳。

 アルバムの作曲はすべて、ロバート・フリップが、作詩はピート・シンフィールドが手がけています。ピート・シンフィールドによる歌詩は、古代ギリシアの長編叙事詩『オデュッセイア』の世界観から影響を受けた内容となっています。ジャケット・デザインもシンフィールドが担当し、射手座三裂星雲の写真を使用していますが、アメリカ盤の初回盤では、なぜかピート・シンフィールドが描いた絵に差し替えられていました。islands

 1曲目“Formentera Lady”・・・コントラバス(Wベース)の弓弾きで始まる荘厳なこの曲はメロトロンと違い自然な音がしていいです。そしてそれに被るように入るメル・コリンズのフルート、そしてキース・ティペットのピアノ。地中海の穏やかな波打ち際のように聞こえます。そこにボズの控えめなボーカルが入り、さらにロバート・フリップのアコースティック・ギターはあくまでも控えめに入ってきます。そしてベースが軽くリズムを刻み始めます。

 そして、途中から、メル・コリンズのサックスとロビン・ミラー のオーボエがおもむろに入って来ます。

 ポーリナ・ルーカスのスキャットが妖艶な感じで最後のほうで聞こえてきます。

 “Formentera”とは地中海にあるスペインのフォルメンテーラ島のこと。つまり“Formentera Lady”はフォルメンテーラ島の女性を歌った歌。

 2曲目“Sailor’s Tale”・・・インストゥルメンタル。この曲はとにかくロバート・フリップのコード弾きに注目。中盤はメロトロンがうねるように響き再びロバートのストローク・プレイが始まります。

 3曲目“The Letters”・・・夫の不倫相手の女性と妻の手紙のやりとりを描いた曲だそうで、修羅場の様子がよく表現されています。歌舞伎のクライマックスを思わせるような展開でドラマティック。

 4曲目“Ladies Of The Road”・・・バスドラやベースの音が凄く強調されたリズミカルな曲。メル・コリンズのサックスもフューチャーされています。後期のTHE BEATLESっぽい曲とも言われているようで、たしかにコーラスがそれっぽい(“Come Togerter”とかに似たところも)。

 THE BEATLESのアルバムやフェリックス・パパラルディがよくやった録音後、テープを逆回しに再生するという手法で、オリエンタル・ムードもかもしています。フリップが結成する次のKING CRIMSONに継承されていく手法です。

 5曲目“Prelude: Song Of The Gulls”・・・インストゥルメンタル。その名の通り“Islands”の前奏曲。オーボエの音色やストリングス(これはメロトロンではない)の音がかなりクラシックっぽく華麗です。

 6曲目“Islands”・・・キース・ティペットのピアノに導かれて厳かに始まります。メロトロンの音もボズの語りかけるような声も、もの悲しくも優しく響きます。マーク・チャリグのコルネットのソロが最初は静かに、次第に力強く響きます。ロバート・フリップのすごいところは、みずからをギタリストではなく、演奏者・表現者と割り切っているところではないかと思います。だから、自分のギターだけを光らすのではなく、あくまでもバランスを考え、アレンジをしています。この曲のエンディングで、フリップとシンフィールドのコラボの終焉となる訳です。

 KING CRIMSONの数多いアルバムの中で一番穏やかで静かなアルバムかも知れません。特にピート・シンフィールドの詩は、1曲を除き、やさしさと愛で満ち満ちた感じです。それが原因なのかどうか分かりませんが、ロバート・フリップはピート・シンフィールドを首にしてしまうのです。あるいは、もともとフィリップとシンフィールドはこれで、コンビを解消するという話し合いので上で、このアルバムを作ったのかも知れません。
 二人のコンビ解消と同時にバンドの解散も検討されたのですが、所属事務所EGから米国公演の契約が残っていると説得され、翌年春までの残りツアーを消化することになったのです。

 デビュー・アルバムの流れを完全に断ち切ったアルバムであるだけに、これまでのKING CRIMSONを期待した人は裏切られたと感じ評価を下げますが、KING CRIMSONの新境地、あるいは純粋に音楽として客観的に評価できる人には非常に評判が高いアルバムのようです。