HEARTBREAKER/FREE(ハートブレーカー/フリー)
1. Wishing Well 2. Come Together In The Morning 3. Travellin’ In Style 4. Heartbreaker 5. Muddy Water 6. Common Mortal Man 7. Easy On My Soul 8. Seven Angels ※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。 |
多分、FREEのことをよくご存じのかたは、「このアルバムはFREEって名乗っているけど、FREEのアルバムじゃないよ」って言われるかたが多いのでは?
たしかにオリジナル・メンバーで正式なメンバーとしてクレジットされているのは、ポール・ロジャースとサイモン・カークだけ。ポール・コソフはゲスト扱い。
アルバムとして考えた場合は、「KOSSOFF,KIRKE,TETSU,RABBIT」にポール・ロジャースが加わっただけですね。
ポール・コソフがゲスト扱いなのは、ご存じのかたも多いと思いますが、彼が薬物中毒で体調がいい時、悪い時と様々で一緒にセッションすることもままならずの状態で、あとでギターだけ録音して加えるというような感じになっていたからです。ポール・ロジャースはコソフの身を案じながらもかなり厳しいことを言っていたようです。クスリから脱しないかぎり、アーティストとして活動するのは困難だと思っていたのでしょう。
それでも、全部の曲にギターを入れることができず、ラビットの同郷テキサス出身で偶然にロンドンにいたスナッフィー(-Snuffy Walden-のちにSTRAY DOGを結成)が“Easy On My Soul”でギターを弾いています。
1曲目“Wishing Well”はギターに関してはノークレジットですが、この音はポール・コソフと思って間違いないでしょう。この曲はかなりヒットしたようで、その後、Gary MooreやBLACKFOOTなどいろんなアーティストがカバーしています。ロジャースはこの“Wishing Well”というフレーズが好きなようで、以前の曲の歌詞にも出て来てましたね。
2曲目の“Come Together In The Morning ”はこれぞコソフという泣きのギターが入っていますね。これはFREEのアルバムじゃないといいつつ、この曲を大好きな人は少なくないはず。山内テツのベースもアンディほどの派手さはないものの、渋いですよね。むしろ、ロジャースのヴォーカル、コソフのギターを光らすためにはこれくらい控えめのベースラインのほうが似つかわしいかも知れません(アンディのベース大好きなかたには不満でしょうが)。
ちなみに、元ロジャース夫人のマチさんもテツさんとはずっと親しいらしく、離婚後日本に戻られてからもテツさんとちょくちょく連絡を取られているとか・・・。
3曲目の“Travellin’ In Style”はピアノがホンキートンク調で楽しいですね。ちなみに、このユニットというのかバンドはキーボードのRabbitがイニシアティブを取りたがったために、ポール・ロジャースと対立して、結局長続きしなかったということのようです。ロジャース自身コソフの体調もあって、パーマネント・グループと考えていなかったのではないでしょうか?
4曲目“Heartbreaker”。70年代に発表された“Heartbreaker”という大作の曲にハズレはないというだけあって、LED ZEPPELINやGRAND FUNK RAILROARDの同タイトル曲同様、名曲だと思います。
5曲目“Muddy Water”はラビットの作品ですが、ロジャースが切々と歌うにはもって来いの名曲だと思います。つづく6曲目“Common Mortal Man”もRabbitの作品。この人もスタジオ・ワークは素晴らしいですが、素行に問題があったようですね。
7曲目“Easy On My Soul”はロジャースの作品。BADCOMPANYに続きそうな感じの曲調です。8曲目“Seven Angel”はやっぱりコゾフのギターがアクセントになっていますね。腐っても鯛というような彼らしい高音をフューチャーしたカッコよい曲です。
このアルバムは1972年10~11月にイギリスのアイランドスタジオで録音されて、1973年早々に発売れています。マイクスタンドを持つロジャースのレリーフがジャケットになっていることからしても、アイルランドレコードとしてはロジャースを全面に出して売りたかったアルバムだったのでしょう。
なお、この正式メンバーによるライブが日本では1972年の7月に日本で行われ(EMARSON , LAKE & PALMERの前座として後楽園球場、甲子園球場でプレイ)ました。その際もコソフは不参加で、ギターはロジャースが担当していたので、いささか寂しいライブでした。
このページの画像はカラーのほうがその日本公演でのライブ、白黒はMOTTO THE HOOPLEとのツアー時に撮影したもののようで、向かって左からラビット、ひとり置いてロジャース、コソフ、そしてのちにロジャースとBAD COMPANYを結成することになるミック・ラルフスも一番右に写っています。
結局、新生FREEはこのアルバム1枚で崩壊してしまいましたが、ポール・コソフが不調の状態ではたとえ続いていても、あまり期待できないバンドだったでしょう。スタジオ・ワークはなんとかなってもライブでの再現は無理だったでしょうし・・・(コンサート・リハーサルの模様の一部はリミックス盤のCDに収録されていますし、ラビットがリハーサルを集めた音源のオフィシャル盤をかつて販売してましたが、正直聴くに堪えません)。
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