EAGLES<1stAlbum>(イーグルス)

2020年4月29日

 

EAGLES / EAGLES

1. Take It Easy

2. Witchy Woman

3. Chug All Night

4. Most Of Us Are Sad

5. Nightingale

6. Train Leaves Here This Morning

7. Take The Devil

8. Earlybird

9. Peaceful Easy Feeling

10. Tryin’

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

※発売時期や国によって多少ジャケットが異なりますので、ご了承ください。

 記念すべきEAGLESのデビュー・アルバム(全米最高22位)です。ご存じのかたが多いと思いますが、一応EAGLES結成のいきさつを書いておきます。

 1971年リンダ・ロンシュタットというカントリー・ロックを歌う女性(大人気でした)のバック・バンドのメンバーとして、オリジナル・メンバーのグレン・フライ(ボーカル、ギター、ピアノ)、ドン・ヘンリー(ボーカル、ドラムス)、ランディ・マイズナー(ボーカル、ベース)、バーニー・レドン(ボーカル、ギター、バンジョー、マンドリン、スティール・ギター等)が集ったことから、将来一緒にバンドやろうぜ、って話になったのです。1971年8月の話でした。eagles 1

 バンド名のEAGLESはアメリカの国鳥でもあります。おそらく彼らはどうせやるのならアメリカを代表するようなバンドになってやろうという野望を持っていたのでしょう。そして、その野望は単なる高望みではなく、メンバーそれぞれの実力に裏打ちされた自信の表れでもあったのです。

 彼らがバンドを組む時、リンダ・ロンシュタットも応援してくれました。だから、契約するレコード会社もリンダと同じアサイラム・レコードにしたのです。

 EAGLESはアメリカのバンドなのにレコ-ディングは初期の頃はイギリスでした。ROLLING STONESやLED ZEPPELINのアルバムなどヒットアルバムをエンジニアとして沢山手がけていたグリン・ジョーンズをプロデューサーに選び、ロンドンでレコーディングしたのです。
 レコーディングにはプロデューサーとかなり対立したようです。グリン・ジョーンズは彼らをバラードが似合うバンドだと捉えて、スローな曲を中心にやらせようとしたのです。グリンとメンバーはカントリー・ロックの要素をどの程度取り入れるかでかなりもめたようです。ドン・ヘンリーはその頃を振り返り、「クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(C.S.N.&Y.)が俺たちの唯一のカリフォルニアの希望だと思っていたんだ」と語っています。

 アルバムは1972年6月にアメリカで発売されました。

 さて、このデビューアルバムはリーダーであるグレン・フライが中心で作られたアルバムのようです。1曲目に入っているデビュー・シングルの“Take It Easy”(全米最高12位)もグレンと当時一緒の部屋に住んでいたジャクソン・ブラウンとの共作です(ジャクソン作曲、グレン作詞)。
 全員が歌えるので厚みのあるコーラスが可能、軽快なアコースティック・ギターとバンジョーの音が心地よく、ウエストコーストっぽい心地よいサウンドに仕上がっています(もっともオリジナル・メンバーはみんな西海岸出身ではありません)。
 しかし、この“Take It Easy”が流行ったおかげで、EAGLESが“気楽にいこうぜ”と脳天気なバンドと思われがちだったのもたしかでしょう。しかし、気楽に行こうぜ、と言っているのは、気楽に行けない様々なことが世の中にはいっぱいあるってことをEAGLESのメンバー自身が一番知っていたワケです。
 ジャクソン・ブラウンも自分のアルバムにこの曲を入れています。もともとジャクソンが自分のアルバム用に作っていたのですが、グレンもとても気に入ったので、じゃあどちらのアルバムにも入れようぜ、ってことになったそうです。eagles 2

 2曲目に入っている“Witchy Woman”がそのEAGLESの別の面を表しています。この曲はセカンド・シングルとして発売されてかなり売れています(全米最高9位)。魔女のような妖しい魅力を持った女性を歌った歌ですが、今までのどのウエストコースト・バンドになかったウェットな感じの重い短調の曲です。
 当時、ドン・ヘンリーはまだ目立つ存在ではなかったですが、この曲ではすでに渋い、いい味のボーカルを聴かせてくれますね。ドンとバーニーの共作です。

 3曲目“Chug All Night”・・・バーニーの重厚なギターから始まるこの曲はグレンがリード・ボーカルを取っています。途中はロックンロールっぽいギターが入ったりしながらも軽やかに、しかし軽くなりすぎずに終わるのがいいですね。

 4曲目“Most Of Us Are Sad”・・・グレン・フライ作。リード・ボーカルはランディ・マイズナー。曲はあくまでもしっとりとスローなのですが、歌詞をみてみると“僕らはほとんどみんな悲しい思いをしているのに、誰もそれを人に見せようとしないんだ”という、心に響く、人生の悲哀を歌った歌です。

 5曲目“Nightingale”・・・この曲もジャクソン・ブラウン作です。ドン・ヘンリーのクールな歌が比較的軽めに入っています。

 6曲目“Train Leaves Here This Morning ”・・・CSN&Yでおなじみのデビッド・クロスビーが在籍したTHE BYRDSのオリジナル・メンバーだったジーン・クラークとバーニーの共作。バニーの声がアコースティックなサウンドをバックに優しく響きます。

 7曲目“Take The Devil”・・・ランディ・マイズナー作。リード・ボーカルもランディです。詩の内容は“神様、どうか私をお導きください”と祈っているのですが、DEVILも出て来て、EAGLES独特の妖しい感じの曲に仕上がっており、後半のギター・ソロがおどろおどろしさを演出しています。

 8曲目“Earlybird”・・・ランディとバーニーの共作。リード・ボーカルはバーニー。イントロにEarlybird(早起き鳥)の鳴き声が入り、心地良いですが、空を自由に飛ぶワシを褒め、それに比べてせわしなく働く早起き鳥と来たら、と皮肉っぽく歌っています。バンジョーとスライド・ギターの音が軽やかです。ブルーグラスっぽいサウンドはバーニーの存在ゆえでしょう。

 9曲目“Peaceful Easy Feeling ”・・・オリジナルはジャック・テンプチンというシンガー・ソングライター。グレンの円熟味のあるボーカルとカントリーっぽい曲調が爽快。サード・シングルとして全米22位まで上がっています。初期のEAGLESというとTake It Easyとこの曲のイメージが強いので、カントリー・ロックっぽく思われるのでしょう。

 10曲目“Tryin’”・・・ランディの作品。バックのサウンドはかなりハードなのに、ランディの誠実な“Keep on tryin’”といささかミスマッチな詩がかえってよいのでしょうか?

 トータルで考えると、新人としてはよく出来たアルバム作りかとは思いますけど、今イチ物足りないと感じるのはのちのEAGLESをイメージするからでしょうか?

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最後に、1973年にBBCで放送された映像がYouTubeにあったので、ご紹介しておきます。曲名は以下の通り、

1. Train Leaves Here This Morning
2. (Whatever Happened To) Saturday Night?
3. Peaceful Easy Feeling
4. Certain Kind of Fool
5. Early Bird
6. Out of Control
7. Take It Easy

 ほかに“Witchy Woman ”も演奏されたはずですが、なぜかここではカットされています。残念!


 ※最近では解散までの6枚のスタジオ・アルバムを集めた輸入盤が3,500円程度買えるので(しかもリミックスしたせいもあって音もよくなっています)今ならそれがオススメです。