SLAVES AND MASTERS/DEEP PURPLE

1. King Of Dreams

2. The Cut Runs Deep

3. Fire In The Basement

4. Truth Hurts

5. Breakfast In Bed

6. Love Conquers All

7. Fortuneteller

8. Too Much Is Not Enough

9. Wicked Ways

※曲目はオリジナルアルバムの曲目を紹介しております。

※発売時期や国によって多少ジャケットが異なりますので、ご了承ください。

 さて、再結成して2枚のスタジオ・アルバムを発表したDEEP PURPLEは再びリッチー・ブラックモアとイアン・ギランが険悪な仲になり始めるのです。

 1988年7月に前年のツアーの模様を収めたライブ・アルバム「NOBODY’S PERFECT」を発売。1989年2月にポリドールからDMGにレコード会社を移籍しますが(いずれも本社はドイツにあります)、アルバムが1枚も発売されずに8月にイアン・ギランの脱退が正式に発表されます。イアン・ギランがあまりにレコーディングに非協力的だったことが一番の理由のようです。

 後任は二転三転したとのことですが、最終的にはRAINBOWの最後のボーカリストをしていたジョー・リン・ターナーが参加。途中でジョーの脱退も噂になるが、1990年10月に第6期DEEP PURPLEとして唯一となる「SLAVES AND MASTERS(スレイブズ・アンド・マスターズ)」が発売されることになります。

 紆余曲折の末、発表されたこの「SLAVES AND MASTERS(スレイブズ・アンド・マスターズ)」ですが・・・

 1曲目“King Of Dreams”・・・このアルバムの曲はほとんどリッチー・ブラックモアが書き下ろしたものらしく、ジョーのボーカルが入ることによってRAINBOWっぽくなるというのは否めないことでしょう。ロジャー・グロバーによると1回ジャムっただけで完成させた曲とのことで、リッチーが嗜好した中世的な雰囲気になっています。

 2曲目“The Cut Runs Deep”・・・かなりハードな曲で、リッチーのギターもかなり踊っています。リズムがすごく重厚なので、厚みのある曲になっています。

 3曲目“Fire In The Basement”・・・かなり歌詞が意味深ですが、そこを大人でさらりと歌うのがDEEP PURPLE風なところでしょう。地下室が火事とは、つまりは身体の下のほうが火照っているってことですね(笑)。ジョン・ロードのオシャレなキーボードが聴けます。PURPLEサウンドが変化することでジョンのキーボードもかなり実験的なプレイがされるようになって楽しかったことでしょう。

 最近ではあまり使わないシャッフルのリズムがむしろ新鮮に聞こえます。流行に引っ張られない独自の音作りができるのがベテランDEEP PURPLEたるゆえんなのでしょう。若い人にはなかなか理解できない音かも知れませんが。

 4曲目“Truth Hurts”・・・このアルバムでリッチー・ブラックモアが一番好きな曲なんだそうです。失恋ソングですが、こういう悲しい歌を歌うのはギランよりジョー・リンのほうが向いていると思います。リッチーも年とともに、味わい深いメロディが弾けるようになりましたね。リッチーの場合は単音で同じ音程のフレーズを弾き続けるというのも結構ありますが、それもまた味になっています。

 5曲目“Breakfast In Bed”・・・この曲でもかなりリッチーはギター弾きまくっています。イアンが抜けないなら、自分が脱退しようと思っていたようなので、RAINBOW向けに作っていた曲がかなりあったのかも知れません。

 6曲目“Love Conquers All”・・・イントロは本当のチェロを使っているそうです。この曲もかなり中世の香りがする甘いラブソングです。

 これで終わりなのか
 友達を失うというより
 夢を失う気分だ
 俺は闇に向かって銃を放つ

 愛しい人よ、
 たとえ一生かかっても
 零れ落ちる涙の一粒一粒に価値があるんだ
 愛はすべてを乗り越えるものだから

こんな詩はイアン・ギランには書けないでしょうね。そこが全盛期のZEPPELINとPURPLEの違いだったのかも知れません。個人的にはこのアルバムで一番好きな曲です。

 7曲目“Fortuneteller”・・・このアルバム・ジャケットのコンセプトはこの曲の内容から描かれたものです。6曲目からの流れが自然で、リッチーのギターも抑え気味。ジョン・リン・ターナーの声もなかなかのものだと思います。でも、やっぱりこれはDEEP PURPLEサウンドではなくRAINBOWですね。それだから否定する人もいるでしょうが、よくできた曲でここちいいです。

 8曲目“Too Much Is Not Enough”・・・ジョー・リン・ターナーがRAINBOW解散後発表したソロ・アルバム「RESCUE YOU」に続くアルバム用にFORIGNERに在籍したアル・グリーンウッドと一緒に作った曲。リッチーもよい曲だと気に入りレコーディングをOKしたそうです。タイトルを訳せば“過ぎたるはおよばざるがごとし”でしょう。身勝手な女性に振り回されている男性の気持ちを歌った歌です。
 途中Speed Kingっぽいギターフレーズが入ったりて、リッチーなりに遊んでいるようです。

 9曲目“Wicked Ways”・・・やはり、ボーカリストによって曲はがらりと変わるものだと痛感します。イアン・ギランはシャウトはできてもメロディアスではない。逆にジョー・リン・ターナーはハイトーンはでないけど、メロディアスに歌い上げるタイプ。
 その違いが、前のアルバムとこのアルバムを聞き比べることでよく分かると思います。
 この曲もジョーにはぴったりの曲であり、リッチーも気持ちよくギターを弾いています。

 このアルバムをひっさげでメンバーは1991年1月からヨーロッパツアーを行い4月からは全米ツアーを行います。そして6月に来日公演を行います。

 公演日程は以下の通り

6月24日(月) 日本武道館
6月25日(火) 日本武道館
6月26日(水) 大阪城ホール
6月27日(木) 日本武道館 <追加公演>

 来日公演の演奏曲目は以下の通り

1.Burn
2.Black Night~Long Live Rock ‘N’ Roll~Child In Time
3.Truth Hurts
4.The Cut Runs Deep~Hush
5.Perfect Strangers
6.Fire In The Basement(Inc.Roger’s Bass Solo)
7.Love Conquers All
8.Difficult To Cure(Inc. Jon’s Keybords Solo)
9.Knocking At Your Back Door
10. Lazy
11.Highway Star
Encore
Smoke On The Water~Ian Paice’s Drums Solo~King Of Dreams~Woman From Tokyo

 私は武道館の2日目を観に行きましたが、さすがに“Child In Time”はジョーに歌わせるのは酷でしたが、ギランが歌っていた曲もそつなく歌い、とてもいいライブだったと思います。このアルバムの曲もいい曲をかなりプレイしてくれてますし。

 このアルバムのツアーではジミヘン、PROCOL HULM、THE BEATLESなどの曲のメロディが随所でプレイされたりしていて、メンバーもそれを楽しんでいたようです。

 1992年初頭にはこの「SLAVES AND MASTERS」に続くアルバム制作に向けて、セッションに入りますが、ジョーと他のメンバーたちの確執(リッチー以外)が起こり、結局ジョーは首になってしまうのです。バンドを継続していくのは本当に難しいものですね。